貴重な資料を後世へ ~歴民館の取り組み~
当館は9月6日~ 11日の間、館内と敷地の全域が職員も含めて「立ち入り禁止」となっていました。古文書や民具を含めた収蔵資料をより良い状態で後世に残していくのに欠かせない作業の一つ、「燻蒸(くんじょう)」を行っていたためです。
「燻蒸」は特殊なガスを室内に充満させ、資料を食べたり汚したりする虫やその卵、カビを一気に駆除する作業です。当館では第1・ 2収蔵庫と特別収蔵庫の3部屋で実施します。このガスは有毒なため、安全を考慮して作業員以外は敷地内に立ち入ることができません。
紙や木・布などを食べ、資料に害をなす虫 (シミ、チャタテムシ、シバンムシなど)は、「文化財害虫」と呼ばれ、博物館や資料館などの施設は虫害対策として、 定期的に燻蒸を行っています。 当館では、2年に1回実施しています。
また、資料を守るためには、燻蒸だけでなく日頃の虫害・カビ対策も大切です。収蔵資料の多くは、長い期間個人宅で保管されていました。虫喰い状態の古文書の中には、紙を開くことができないほど汚損の激しいものもあります。
当館で市民の皆さんから資料の寄贈や寄託を受け入れた後は、汚損を進行させないようさまざまな工夫をします。例えば、古文書は埃を払い、酸化が進まないよう中性紙でできた封筒に入れて保存したり、収蔵庫の扉の内側に虫除け用の網戸を設置したり、館内の各所に「フェロモントラップ」を設置したりするなどです。
こうした取り組みの積み重ねが、龍ケ崎の貴重な資料を、未来へ繋いでいくのです。 【T・I】